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藤井朗「地方自治体間における滞納整理事務の『知識移転』課題」 

 

[要旨] 

本論文は、東京都主税局から区市町村に行った滞納整理事務に関する支援を知識移転という観点から分析を試み、現在の滞納整理事務状況をもとに区市町村の知識吸収能力の差異について検討した。

第1章で研究の背景と目的を概観し、第2章では都から区市町村へ知識移転を図るための背景を説明した。第3章では、都が構造改革から実施してきた滞納整理におけるノウハウの蓄積を説明し、第4章では、都主税局から区市町村に行った知識移転を説明した。第5章は、知識移転を検討するための理論枠組みとして援用するSzulanski(1996) を紹介した。第6章は、滞納整理事務の知識移転を測定する指標として取り上げた捜索の定着実績を詳述した。第7章は、移転先である受け手側の区市町村の吸収能力に着目し、トップマネジャー、ミドルマネジャー、オペレーターの3者の立場での捜索等の取組み姿勢との関係を分析し、ミドルマネジャー、オペレーターが一致して知識移転に賛成する姿勢が求められることを示した。第8章は、まとめとして本研究の要約と意義を述べた。